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Van Diemens THE TARKINEレビュー!VOX V828系ファズの音と使い方を検証

1960年代のVOX TONE BENDER V828をベースにしたゲルマニウムファズ、Van Diemens THE TARKINEをレビューします。

機材協力 Thanks @yokoyamakazuaki

オーストラリア・タスマニア島で、選別したヴィンテージ部品を使って1台ずつ組み上げられるハンドメイドペダルです。

ヴィンテージV828に通じるサウンドを残しながら、古いファズより圧倒的に鳴らしやすいところが気に入っています。

ファズを踏んで鳴らすだけでなく、ギターの手元を駆使して音を作れるところもTHE TARKINEの面白さです。

所長
所長

僕はクランチしたアンプやプリアンプに踏む使い方が好きですね。

Van Diemens THE TARKINE ざっくり特徴
どんなペダルかVOX TONE BENDER V828の回路を基にした2石ゲルマニウムファズ
音の傾向ローが膨らみすぎず、カリッとエッジが立つ
ギターボリュームFUZZの設定によってファズ、クランチ、クリーンまで変化
FUZZを絞った時ファットで温かみのあるオーバードライブ寄りのサウンド
FUZZ最大時ギターボリュームでクランチ程度までゲインを落とせる
好みの組み合わせクランチさせたアンプやプリアンプに踏んだ時の図太さ
今回の個体Brimar ASY84(Q1)/ASY83(Q2)を搭載
電源9V電池/9V DCセンターマイナス。外部電源はアイソレート出力が必要
Van Diemens THE TARKINE 今回の個体スペック
ブランドVan Diemens Analogue Audio Disruptors
モデルTHE TARKINE(ターカイン)
回路VOX TONE BENDER V828ベースのPNPゲルマニウム2石ファズ
筐体仕上げEmerald Green Hammer paint
トランジスタ Q1Brimar ASY84
トランジスタ Q2Brimar ASY83
コンデンサーSprague/Hunts/WIMA
抵抗Allen Bradley/Piher/Jackson
ポット・フットスイッチAlpha
ジャックCliff
LEDGreen LED
DCジャックLumberg 2.1mm
内部配線タレットボードを使用したポイント・トゥ・ポイント構造
コントロールVOLUME、FUZZ
電源9V電池/9V DCセンターマイナス(アイソレート出力必須)
生産オーストラリア・タスマニア島でハンドメイド

スペック表には、今回提供された個体情報を掲載しています。

魔法の箱研究所 レビュー動画
レビュー時の使用機材
ギターTelecaster
主に使用したピックアップネック側(フロント)
アンプQuilter Aviator
アンプ側の設定クリーン/プリアンプのオーバードライブチャンネル
音作りの操作FUZZ、VOLUME、ギターボリューム、ギタートーン
電源9V電池

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THE TARKINEはVOX V828を基にした2石ゲルマニウムファズ

THE TARKINEは、製作者Richard Turner氏がVOX TONE BENDER V828を基に改良したゲルマニウムファズです。

ヴィンテージの2石ファズの個性を受け継ぎ、歯切れの良いサウンドと扱いやすさを両立したモデル。

メーカーは高域の鋭さと明るさに加え、バンドの音に埋もれにくいファズを目指しています。

It is a sharper, brighter, sizzling fuzz that will really cut through the mix.

Van Diemens THE TARKINE 公式製品ページ

製品名はオーストラリア・タスマニア島の原生林「Tarkine」に由来します。

VOX V828とTone Bender MK1.5はコンデンサーの容量が異なる

VOX V828とTone Bender MK1.5は、ゲルマニウムトランジスタを2個使う近い系統のファズです。

ただしV828のカップリングコンデンサーは、一般的なColoursound Tone Benderより容量が小さい設計。

カップリングコンデンサーは次段へ音声信号を渡す部品で、抵抗との組み合わせによって低域の通り方も変わります。

V828を基にしたTHE TARKINEでは、VOLUMEポットの抵抗値を変更しています。

FUZZポット周辺の抵抗を1本取り除き、さらに低域を補うフィルターも追加した回路です。

メーカーはフィルターにより、シングルコイルとハムバッカーの音のバランスを取りやすくしたと説明しています。

今回の個体はBrimar ASY84とASY83を搭載

今回お借りした個体のトランジスタは、Q1がBrimar ASY84、Q2がBrimar ASY83です。

Brimarはイギリスの電子部品ブランドで、ASY84とASY83は1965年の『Wireless World』にも掲載されています。

当時はファズ専用ではなく、汎用スイッチング用として販売されたPNP型ゲルマニウムトランジスタです。

メーカー広告に記載された直流電流増幅率(hFE)の規格値を比較します。

型番ASY84(Q1)ASY83(Q2)
極性・素材PNP・ゲルマニウムPNP・ゲルマニウム
hFEの規格範囲30〜13070〜320
1965年の用途分類汎用スイッチング汎用スイッチング
※hFEは広告に記載された測定条件(Vcb=0V、Ic=-10mA)での規格値。今回の個体の実測値ではありません。

ASY84は30〜130、ASY83は70〜320の規格で、70〜130は両方に含まれる数値です。

今回搭載された部品の実測値ではなく、当時販売されていた型番ごとの増幅率を示しています。

ゲルマニウムファズの歪み方には増幅率だけでなく、漏れ電流やバイアス、周辺部品も関わる仕組み。

Van Diemensではトランジスタの電圧を初期設定した後、実際に音を聴いてバイアスを追い込みます。

ヴィンテージ部品の選別に加えて、耳で仕上げる製作方法を採用している点も興味深いですね。

今回の個体はタレットボードを使った手配線

ヴィンテージアンプにも見られるタレットボードに、電子部品を一つずつ取り付けた構造です。

コンデンサーはSprague・Hunts・WIMA、抵抗にはAllen Bradley・Piher・Jacksonを使用。

ポットとフットスイッチはAlpha製で、ジャックはCliff製を採用しています。

部品を手作業でつなぐポイント・トゥ・ポイント配線で、内部もヴィンテージアンプを思わせる仕上がりです。

公式販売ページにはAC107/OC76やAC125/OC76を搭載した別仕様もあり、今回の個体とは構成が異なります。

参照元:Van Diemens THE TARKINE 公式製品情報/Wireless World 1965年10月号 Brimar広告(PDF)

ヴィンテージV828に通じるカリッとしたサウンドと高い出力レベル

THE TARKINEはローが膨らみすぎず、カリッとしたエッジの立つファズサウンドです。

Telecasterのフロントピックアップでも低域が飽和しすぎず、音の輪郭を残したまま鳴らせます。

以前TC楽器さんからお借りしたヴィンテージV828にも、ローが締まった同じ傾向の音がありました。

V828ではカラッとした高域と少しスモーキーな歪み方が印象的で、THE TARKINEにも通じる部分です。

一方、THE TARKINEは以前弾いたV828よりアウトプットレベルが高く、音量を上げる余裕があります。

VOLUMEとFUZZの調整幅も広く、現代の演奏環境で格好良く鳴らしやすいファズです。

ヴィンテージV828の詳しいサウンドは、VOX TONE BENDER V828レビューで紹介しています。

TC楽器さんからお借りしたVOX V828のレビュー動画

TC楽器さんの企画でお借りしたV828の動画では、カリッとした高域や歪み方を確認できます。

比較は別の機会にそれぞれを弾いた経験に基づき、今回の動画で同時に弾き比べたわけではありません。

所長
所長

ヴィンテージファズの音を受け継ぎながら、現代の演奏環境で鳴らしやすく仕上げられているのがTHE TARKINEです。

Fuzz Faceのように低域が膨らまない

Fuzz Faceのようにローが大きく膨らまず、THE TARKINEは音が前へ抜けてきます。

円盤型Fuzz Faceや大型のTone Benderは、ローの広がりと音の奥行きも魅力です。

僕はFuzz Faceの太いローも好きですが、アンプとの組み合わせで低域が広がりすぎることもあります。

最近のFuzz Face系にはローカットを搭載し、ローの出過ぎを調整できるモデルも登場しました。

THE TARKINEは元から低域が膨らみすぎないため、フロントピックアップでも扱いやすいバランスです。

ローの広がりや奥行きはヴィンテージに譲る部分もありますが、バンドの中では抜けの良さが生きます。

筐体も大きくなく、円盤型Fuzz Faceや大型Tone Benderよりボードに収めやすいですね。

音が膨らみすぎないうえに持ち運びもしやすく、ライブなどへ持ち出す用途にも合います。

所長
所長

ヴィンテージ特有の低域の広がりとは違いますが、手元で音をコントロールする楽しさと鳴らしやすさはTHE TARKINEの強みです。

古いファズよりアウトプットレベルに余裕がある

ヴィンテージV828や古いFuzz Faceは、現在のファズほどアウトプットレベルが高くありません。

最近のFuzz Face系やVEMURAMのファズにも、出力レベルを高く取ったモデルがあります。

THE TARKINEもアウトプットに余裕があり、踏んだ時に音量をグッと持ち上げる使い方ができます。

僕自身は大幅に音量を上げて使いませんが、ブーストしたい人にもうれしい設計です。

音量が大きくない古いファズは、アンプやスピーカーの選び方に音の印象が左右されます。

基本の音作りまで追い込まないと格好良く鳴らせず、今も試行錯誤している部分です。

THE TARKINEは古いファズよりも圧倒的に鳴らしやすく、音作りの自由度を感じました。

ギターボリュームでファズからクリーンまで作れる

THE TARKINEはFUZZを適度に設定すると、ギターボリュームだけでファズからクランチ、クリーンまで作れます。

FUZZはGAINやATTACKに相当するノブで、ギター側の操作と組み合わせて歪みを調整するタイプです。

ボリュームを絞っても高域の輪郭が残り、歪みを落とした時にもカリッとした音が立ちます。

ギターボリュームの反応はシビアで、ほんの少し触るだけでもゲインが変化しました。

Fuzz Faceはボリュームを9.5程度に絞るだけでも扱いやすくなりますが、THE TARKINEの方が鳴らしやすいです。

Fuzz Face系の反応に苦手意識がある人にも、手元でサウンドを変える楽しさを味わえるファズですね。

メーカーはバッファーの前につなぐ接続順を推奨しており、チューナー内蔵のバッファーにも注意が必要です。

FUZZ最大でもギターボリュームでクランチまで落とせる

FUZZを最大にすると強く歪みますが、ローが膨らみすぎず音の輪郭は残ります。

Telecasterのフロントピックアップで弾いても、低域が潰れて抜けが悪くなる感じはありません。

FUZZ最大のままギターボリュームを下げても、きれいなクリーンには戻らない設定です。

それでもクランチ程度まではゲインを落とせて、ファズを全開にしたまま手元で調整できます。

クリーンまで戻したい時は、FUZZを少し下げるのがコツです。

高域の出方が気になる時はギターのトーンで調整

ギターボリュームを絞ってエッジが立ちすぎる時は、ギタートーンを下げて柔らかくできます。

高域がしっかり残るので、トーンで引き算しながら好みのサウンドへ追い込めます。

ボリュームだけでなく、トーンやピッキングまで含めて音を追い込めるのが魅力です。

FUZZを絞るとファットで温かいオーバードライブになる

FUZZをゼロまで下げると、THE TARKINEはファットで温かいオーバードライブのような音に変わります。

強く歪ませるだけでなく、FUZZを下げた時の滑らかな歪みもいいんですよね。

ギターボリュームを9.5程度に少し絞れば、歪みの質感が残るファットなクリーン寄りの音も作れます。

FUZZを下げると出力音量も小さくなるため、VOLUMEを上げて音量のバランスを取る使い方です。

VOLUMEは12時より少し上げた位置を基準に、FUZZを絞った分だけさらに音量を補いました。

FUZZをゼロから少しずつ上げると、ギターボリュームで作れるクリーンやクランチの幅も変わります。

歪みを深くするためだけではなく、手元で作りたい音に合わせてFUZZを決められるのが面白いですね。

所長
所長

FUZZを下げて、ギターボリュームをほんの少し絞った時の音もいいんですよね。

クランチしたアンプに踏むと図太く柔らかいサウンドになる

クリーンアンプでも良い音ですが、僕はクランチしたアンプやプリアンプにTHE TARKINEを踏む使い方が好きです。

クリーンチャンネルに踏む時より音が少し柔らかくなり、コードもグッと前へ出てきます。

ギターボリュームを動かした時のゲイン変化も広がり、手元でさらに音を作り込める組み合わせです。

動画の冒頭ではクリーンからプリアンプのODチャンネルへ切り替え、単音のサウンドも鳴らしています。

後半でもODチャンネルへ切り替えて、クリーン時との音の変化を確かめました。

特にFUZZを下げた状態でクランチへ踏むと、図太く気持ちの良いサウンドが作れます。

後段のオーバードライブを軽く歪ませ、THE TARKINEを踏む接続もおすすめの方法です。

ファズの後ろで歪みを重ねるという点では、クランチしたアンプに踏む音作りと共通しています。

所長
所長

FUZZを下げてクランチに踏んだ時の図太さが気持ちいいですね。

外部電源を使う場合はアイソレート出力が必要

THE TARKINEは9V電池のほか、9V DCセンターマイナスの外部電源にも対応しています。

ただしほかのペダルと電源を共用せず、独立したアイソレート出力から給電する必要があります。

今回の試奏では9V電池を使用しましたが、外部電源に対応しているのはボード運用でも便利です。

昔は9V電池を交換してファズの音の違いを楽しんでいましたが、最近は選べる電池も減りました。

電池の種類にこだわって鳴らす楽しさはあるものの、日常的に使うなら外部電源への対応も重要です。

メーカーは電源を分岐するデイジーチェーンを禁止し、故障した場合は保証対象外と明記しています。

センターマイナスでも独立した出力が必要な理由

センターマイナスは電源プラグの極性で、プラスグラウンドは内部回路の電位の取り方です。

THE TARKINEはPNP型ゲルマニウムトランジスタを使ったプラスグラウンド回路を採用。

一般的なマイナスグラウンドのペダルと共通電源につなぐと、音声ケーブルを介して短絡する危険があります。

DC出力端子が個別に並んでいるだけでは足りず、端子同士が電気的に分離された電源が必要です。

9V電池を使う場合は、入力ジャックにケーブルを挿した状態で電池から給電されます。

演奏後は入力ケーブルを抜いて電池の消耗を防ぎ、外部電源の接続中は内蔵電池が回路から切り離されます。

参照元:Van Diemens 公式FAQ/Van Diemens THE TARKINE 公式製品情報

Van Diemens THE TARKINEがおすすめの人

  • VOX TONE BENDER V828に通じるカリッとした音が好きな人
  • Fuzz Faceほど低域が膨らまないゲルマニウムファズを探している人
  • ギターボリュームでファズからクランチ、クリーンまで作りたい人
  • FUZZを絞った時のファットなオーバードライブも使いたい人
  • クランチしたアンプやプリアンプにファズを踏みたい人
  • ヴィンテージ部品を使ったポイント・トゥ・ポイント構造に興味がある人

Van Diemens THE TARKINEをおすすめしない人

  • Fuzz Faceの大きく広がる低域や奥行きを最優先する人
  • FUZZ最大でもギターボリュームだけでクリーンへ戻したい人
  • 9V電池やアイソレート電源を用意せず共通電源だけで使いたい人

THE TARKINEはヴィンテージV828の個性を残した鳴らしやすいファズ

Van Diemens THE TARKINEは、VOX V828に通じるカリッとした音と現代的な扱いやすさを備えたゲルマニウムファズです。

FUZZを絞ると温かいオーバードライブになり、ギターボリュームやトーンで多彩な音色を作れます。

僕が特に気に入ったのは、クランチさせたアンプに踏んだ時の図太く柔らかいサウンド。

今回の個体はBrimar ASY84とASY83を搭載し、ヴィンテージ部品を使った手作業の組み立ても魅力です。

ヴィンテージV828と比べてもアウトプットレベルに余裕があり、古いファズより圧倒的に鳴らしやすく感じました。

安いペダルではありませんが、V828系のファズサウンドを求めるなら試す価値のある一台です。

所長
所長

ヴィンテージファズが好きな人にも、手元で音を作りたい人にも試してほしい一台ですね。

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