
Proco RATは1978年に登場し、現在まで続く代表的な歪みエフェクターです。
最初期はカスタムオーダーで作られたBud Boxから始まり、1979年には量産モデルのRATが登場しました。
所長もRATが大好きで、これまで1979年製Large BoxからRAT1、初期RAT2まで複数年代のヴィンテージRATを弾いてきました。

所長としてはクランチサウンドを作るのに、最良なペダルと考えています。
所長にはローカット気味でカラッとした、アメリカンディストーションらしいサウンドに感じられます。
RATらしい音だと一聴して分かるほど、個性的な歪みも魅力です。
| 項目 | チェックした内容 |
|---|---|
| サウンド | カラッとした乾いた質感で、RATらしい個性的な歪み |
| ゲイン | クランチから深いディストーション、ファズに近い歪みまで |
| FILTER | 右へ回すほど高域をカット |
| 年代比較 | 1979年Large Boxから1993年RAT2まで実機で比較 |
| 見分け方 | シリアル、ポットデイト、外観や基板を確認 |
| RAT1/RAT2 | RAT1は柔らかさと太さ、RAT2はコンプレッション感のあるスムーズな歪み |
RATはディストーションとしてだけでなく、プリアンプやブースターとしても使えるなど、幅広いゲインレンジをカバーしてくれる歪みエフェクターです。
DISTORTIONを最大まで上げると、ファズに近い深い歪みまで変化します。
FILTERは一般的なToneと効く向きが逆で、右へ回すほど高域をカットします。
RAT自体は高域がでるので、所長はFilterを大体2時以降を基本にセッティングしています。
86年と88年のRAT1では、アンプをクリーンにしてDISTORTIONを9時前後に設定することが多いです。
現行モデルの仕様やサウンドについては、Proco RAT2レビューで詳しく紹介しています。
| モデル | 年代 |
|---|---|
| Large Box | 1979年製 |
| Large Box | 1982年製 |
| RAT1 Small Box White Face | 1984年製 |
| RAT1 Small Box | 1986年製 |
| RAT1 Small Box | 1988年製 |
| 初期RAT2 | 1987年製ポット搭載 |
| RAT2 | 1993年製 |

年代による外観やシリアルの違いと共に、所長が実際に比較して感じたサウンドも紹介します。
PROCO RATの歴史を簡単に紹介

RATの原型となるBud Boxは1978年頃に作られ、1979年には最初の量産モデルとなるFringe Logo RATが登場します。
初期の量産モデルは大きな筐体を採用しており、日本ではLarge Box、海外ではBig Boxと呼ばれることが多いRATです。
Fringe Logoを含む1979年の初期モデルでは、右へ回すほど高域が増えるTONEコントロールを採用しています。
1981年にはFILTER表記へ変更され、右へ回すほど高域をカットする現在のRATと同じ操作方向へ変わりました。
当研究所でも、貴重な1979年製TONE表記のLarge Box RATを試させてもらいました。
1984年になると筐体を小型化した、Small Boxと呼ばれるRATが登場します。
現在RAT1と呼ばれることが多いのは、LEDを搭載する前のSmall Box時代のRATです。
1984年に登場した最初期Small Boxは、白いブロック内に黒文字のRATロゴを入れたWhite Faceと呼ばれています。

1986年にはロゴのデザインが変わり、Black Faceと呼ばれる仕様へ移行します。
White FaceからBlack Faceへの変更は主に印刷上の違いで、回路自体は同じです。


古いRAT1は塗装が剥がれ、錆が出ている個体もよく見かけますね。
RATはLarge BoxとSmall Boxで、挙動やサウンドも異なります。
別の機会には1982年製Large Boxも弾きましたが、こちらもSmall Boxとは違うサウンドに感じました。
1980年代後半になると、Small BoxのRAT1からLEDを搭載したRAT2への移行が始まります。
1986年にはLED付きRAT2の試作が作られ、量産モデルのRAT2は1988年に登場しました。
一方、当研究所で所有する初期RAT2には1987年製ポットが搭載され、88年製RAT1と近い仕様も確認できます。

RAT2ではProcoのロゴがなくなり、RATロゴのA部分にLEDが追加されました。
所長が所有する初期RAT2を見ると、筐体側面や底蓋は88年製RAT1と共通する作りです。
筐体の塗装にも違いがあり、所長の個体ではRAT2の方が塗装剥がれや錆が少なく残っています。
参照元:JHS Pedals – PROCO RAT PEDAL MYTHS, HISTORY, AND TIMELINE
RAT2 USA製の見分け方 中国製との違いも確認
RAT2のUSA製を見分ける場合、底面のMade in USA表記が最も分かりやすい確認ポイントです。
ただし、後期USA製にもスラント筐体や小型ノブの個体があり、外観だけでは中国製と判断できません。
| 確認ポイント | USA製RAT2 | 中国製RAT2 |
|---|---|---|
| 底面ラベル | Made in USA表記あり | Made in USA表記なし |
| 筐体 | 初期はフラット、後期にはスラントも存在 | スラント筐体 |
| ノブ | 初期は大きめ、後期には小型ノブも存在 | 小型ノブ |
| オペアンプ | LM308、後期にはOP07系も確認 | OP07系 |
| 基板 | 後期USA製にもRAT3表記あり | RAT3表記の基板を確認 |
中国製へ移行したRAT2ではMade in USA表記がなくなり、外箱にMade in Chinaと記載された個体が確認されています。
底面ラベルが残っていない場合、USA製と中国製を判別するには基板など内部も確認した方がよいでしょう。
スラント筐体へ変わった時期については、資料によって年代の説明に差があります。
Griffin Effectsは2003年頃の変更、Tym GuitarsはUSA生産中からスラント筐体が存在したとしています。
一方、JHS Pedalsでは2008年の中国生産移行と合わせて、スラント筐体へ変わったと整理されています。
参照元:Tym Guitars、Griffin Effects、JHS Pedals(前掲)
他にもRATにはTurbo RATやBRATがあり、現在はFAT RATやLil’ RATなどもラインナップされています。
RATは年代を問わず、多くのギタリストに使われてきたディストーションです。
- Nuno Bettencourt
- Jeff Beck
- Joe Perry
- John Scofield
- Dave Grohl
- Robert Fripp
- 青木裕
- いまみちともたか
参照元:Equipboard
RATの年代を調べる際は、外観に加えてシリアル番号も手がかりになります。
Proco RATのシリアルから製造年と種類を見分けることも可能
Proco RATのシリアル番号から、製造年代やRATの種類を絞り込めます。
Bella Voce GibsonのRAT2シリアル資料では、ポットの製造時期とRAT本体の製造時期にはタイムラグがあり、実際の製造年とは誤差があると説明されています。
シリアル番号にポットデイトや外観、基板を合わせて確認すると製造年代をさらに絞れます。
最初期のFringe Logoには、Systech用に作られたシリアルラベルを流用した個体も確認されています。
その後はRTで始まるシリアルが多く使われますが、ProCo DB-1用ラベルを流用したDBシリアルも存在します。
| シリアル | 年代の目安 | RATの種類 |
|---|---|---|
| Systech用ステッカー流用 | 1979年頃 | Fringe Logo、初期Large Box |
| RT-010000番台 | 1979〜83年 | Large Box(Big Box) |
| RT-020000番台 | 1983〜85年 | Large Box(Big Box)/Small Box RAT1(White Face) |
| RT-030000〜050000番台 | 1985〜86年 | Small Box RAT1 |
| RT-060000〜070000番台 | 1986〜87年 | Small Box RAT1/初期RAT2 |
| RT-080000〜090000番台 | 1987〜88年 | Small Box RAT1/初期RAT2 |
※最初期の量産RATには、Systech製品用として残っていたシリアルナンバーステッカーを流用した個体があります。
参照元:ProCo RATのシリアルナンバーとオペアンプ、RAT Distortion Pedals、JHS Pedals(前掲)
シリアル番号から、RAT1とRAT2の移行時期も確認できます。
- RAT1 White Face:1万〜2万番台
- RAT1 Black Face:3万番台以降
- 初期RAT2:6万番台から確認
- 8万〜9万番台:RAT1と初期RAT2が重なる移行期
参考情報提供:Thanks! CAMURO

所長のRAT1はシリアル9万番台ですが、RAT2ではなく88年製の後期RAT1です。
所長が所有する88年製RAT1と初期RAT2は、RAT1からRAT2へ移行していた時期に近い個体です。




PROCO RATの年代を判断するにはポットデイトもチェックする
Proco RATの製造年代を調べる場合、シリアル番号と合わせてポットデイトも確認します。
例えば、所長が所有する88年製RAT1のポットには1378816と記載されています。

137はCTSを示すEIAコード、88は1988年、16は第16週に製造されたポットであることを示します。
搭載されているポット自体は、1988年第16週に製造された部品です。
ポットデイトはペダル本体の完成日ではなく、部品が製造された時期を示しています。
部品を仕入れてから組み立てるまでには時間差があるため、製造年を絞る目安として使います。
参照元:Bella Voce Gibson「ProCo RAT2 以降のシリアルナンバーとオペアンプ」(前掲)
続いて、所長が所有する初期RAT2のポットデイトを見てみます。

初期RAT2には、1987年製のCTSポットが搭載されています。
量産モデルのRAT2は1988年に登場し、開発は1986年から1987年にかけて進められていました。

RAT2の量産開始が1988年なら、1987年製ポットを在庫から使った可能性はありそうですね。
シリアルや基板を見てもかなり初期のRAT2なので、移行期ならではの個体として面白いです。
RATを年代別に基板をチェック 特徴を紹介
続いて、所長が実際に確認したRAT1と初期RAT2の基板を年代別に見ていきます。
86年製RAT1の基板を見ると、オペアンプにはMotorola製LM308が搭載されています。

RATといえば、このモトローラーLM308オペアンプが良いという人もいるでしょう。
実際にはMotorola製だけでなく、National Semiconductor製などメーカーの異なるLM308を搭載した個体も確認されています。
所長の86年製RAT1は乳白色に近い基板で、後年の個体とは見た目にも違いがあります。
88年製RAT1の基板には、LED用の部品を載せられるパターンが確認できます。
1987年頃から、RAT1にもRAT2と共通する基板が使われています。

88年製RAT1のオペアンプもMotorola製LM308ですが、基板は緑色へ変わっています。

参照元:Bella Voce Gibson「ProCo RATのシリアルナンバーとオペアンプ」(前掲)
初期RAT2ではA部分にLEDが追加され、LEDを動作させるための回路も実装されています。

所長の初期RAT2も、オペアンプにはMotorola製LM308が搭載されています。

同じMotorola製LM308を搭載していますが、所長が比較した88年製RAT1とはサウンドが違いました。
同じLM308でも音が違ったため、LED追加に伴う回路変更も音の違いに影響しているのかもしれません。

同年代でも基板の色が違う個体がありますし、実際に何台か弾くと音の違いも感じます。
個体差があると言われるRATですが、所長も何台も比較して頷ける部分がありますね。
参照元:JHS Pedals「PROCO RAT PEDAL MYTHS, HISTORY, AND TIMELINE」(前掲)
RAT1とRAT2の違いについて 製造年別にサウンドを比較してみた
RAT1と現行RAT2の音は変わらないという意見もありますが、所長は違うと感じました。
RAT1は音に柔らかさと太さがあり、ギターボリュームを絞ったクリーンサウンドにもふくよかさを感じました。

昨今のアンプライク系ペダルのような艶やハリとは違いますが、RAT1ならではの太さがあります。
RAT1は単音で弾いた時も太く、ソロやリフプレイにも映えます。
動画で使った中国製RAT2はエッジーなサウンドで、RAT1は比較するとウォームに感じられます。
同じようなニュアンスは、所長が弾いてきた古いBOSS SD-1やMXR Distortion +でも感じる部分があります。
現行品がダメというわけではありませんが、古いRATが愛される理由はあると感じました。
88年製RAT1と87年製ポット搭載RAT2&93年製RAT2を比較
88年製RAT1、1987年製ポットを搭載した初期RAT2、93年製RAT2のサウンドを比較しました。
88年製RAT1は乾いた音と突き抜ける高域があり、カラッとしたサウンドが魅力でした。
初期RAT2は93年製RAT2より太く、歪ませていくと所長好みのかっこいい音に感じました。
今回比較したRAT2はRAT1よりコンプレッション感があり、歪みの質感もスムーズです。

先ほど紹介した併売期のRAT1とRAT2を、解説付きで比較した動画も撮ってみました。
各年代のRATについては、きになるおもちゃでも多数の個体が紹介されています。
所長は深く歪ませるよりクランチで使うことが多く、ギター側のボリュームやピッキングで変化させる使い方が好みです。
クランチから深いディストーションまで作れ、ギター側から反応を変えられる点もRATの面白さです。
RATはオペアンプで音が変わるのか?交換してみた
ヴィンテージRATのオペアンプでは、LM308がよく注目されます。
所長も気になったため、初期RAT2をソケット化して3種類のLM308を比較しました。
| メーカー | 型番 | タイプ・表記 |
|---|---|---|
| Motorola | LM308N | – |
| National Semiconductor | LM308AH | 缶タイプ |
| National Semiconductor | LM308N | ON LABEL KOREA |
LM308はMotorola製とNational Semiconductor製がRATに使われ、後年にはOP07系へ移行しています。
LM308の置き換えは1995年から始まり、1996年以降のRAT2にはOP07DPが使われています。
参照元:JHS Pedals(前掲)、きになるおもちゃ(前掲)
実際にオペアンプを交換した時のサウンドは、以下の動画で確認できます。
オペアンプを載せ替えると実際に音は変わり、所長は比較した中ではMotorola製LM308が好みでした。
年代による音の違いと個体差もRATを探すのも楽しい
Proco RATは年代によってサウンドに違いがあり、同じ年代でも個体差を感じるペダルです。
RAT1は柔らかさと太さがあり、RAT2はコンプレッション感のあるスムーズな歪みに感じました。
Large BoxとSmall Boxでも違いがあり、同じLM308を搭載した個体でもサウンドに違いがありました。

所長が気に入って所有している88年製RAT1は、元々友人が所有していた個体です。
譲ってもらうまで近い年代やシリアルのRATを数台買いましたが、同じ音の個体はありませんでした。
年代や仕様を調べながら、自分好みの一台を探すのもヴィンテージRATの楽しさです。
現行RAT2にもRATらしいゲインレンジがあり、ヴィンテージとは違ったエッジの効いたサウンドがあります。
ヴィンテージRAT1を探す場合は、シリアルだけでなくポットデイトや外観、内部基板まで確認すると年代を絞りやすくなります。
RAT系でおすすめな現行品ペダルたちを紹介
RAT系ペダルは数多くありますが、所長が実際に弾いて記憶に残っているモデルを紹介します。
ignition/of/mass-products// ART
ignition/of/mass-products//が作るARTは、所長が弾いたRAT系の中でも面白かったペダルです。

所長がお気に入りの88年製RAT1に、サウンドが似ていると感じたのも印象に残った理由です。
さらにCHEWモードを搭載し、一般的なRAT系とは違うサウンドも作れます。
入手しにくいモデルですが、RAT好きなら一度試してほしいペダルです。
ignition/of/mass-products// ARTのレビューはこちら
Organic Sounds Hercules

Organic Sounds HerculesはRATをベースに、TC楽器とのコラボで作られたペダルです。
RATと比べるとローミッドからローに厚みがあり、所長には環境に左右されにくい印象を受けました。
例えばJC-120のようなアンプでは、所長にはHerculesの方が音をまとめやすく感じられました。
ギターボリュームやピッキングに対する反応も良く、RATらしい使い方ができます。
RAT系エフェクターを探している場合は、候補に入れて試してほしいモデルです。








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