今回はレビュー依頼をいただきました、
「ignition/of/mass-products//」さんのペダル、
「ART Pre-amp Distortion」を紹介します^^
「ignition/of/mass-products//」さんですが、
Twitterをご覧いただけるとわかりますが、パーツへの拘り、
【input jack】
ARTは、SwitchCraftの50~60年代製のジャックをインプットに標準搭載しています。
SwitchCraftロゴも稲妻を伴ったものでvintageならではの風貌。
音質面でも現行品では出せないレンジ感を持っている。
個人的にジャックはvintage感のベクトルを決める重要なパーツだと考えています。 pic.twitter.com/tJRWEEfWAX— ignition/of/mass-products// (@i_o_mp) 2018年8月10日
紹介されているペダルの数々など、
僕も好きで所有するものを散見したことから、
興味があったブランドさんだったので、今回のレビュー依頼は嬉しかったです^^
ペダルレビュー
ヴィンテージのRAT、
ラージボックス、RAT1を元に開発されたモデルです。
《ART》(pre-amp,distortion)
ARTはProcoのRATの回路を使用しています。私が思うRATの魅力をより深め、使い難さを取り除きました。
2台のvintageラージboxのサウンドを元に作り込んでいます。
デモ動画作製:@sukutakafumi#ART #RAThttps://t.co/bWFWTZNiOy pic.twitter.com/R4mi1N0MuQ— ignition/of/mass-products// (@i_o_mp) 2018年7月30日
単にヴィンテージクローンではなく、
「ignition/of/mass-products//」さん独自の、
チューニングが施されたモデルとのこと。
チューニングされた部分を簡単に言うと、
「ブースト量」「低域の出方」「高域調整」等、
使いやすく改善しており、それは実際に体感できました。
コントロール、ツマミは三つ。
RATのFILTERが「TONE」に変わり、
効きも一般的なトーンと同じ仕様になっています。
それとオリジナルのRATにはない、
「CHEW」と呼ばれるミニスイッチを搭載。
これはゲインを上げた時に生じる、
音のこもりを解消するスイッチとのことですね。
またこの手のモデルとしては珍しく、
DCジャック、LEDも搭載されています^^
で、今回のレビューにあたり、
僕が所有する1988年製の「RAT1」、
そしてなんと……
1982年製のラージボックスをお借りしました^^
なぜなら、開発される上で元になった、
ラージボックスとの比較は必須と考えたからです。
何より僕もラージボックスは初体験、おかげで色々と収穫、気付きがありました^^
サウンドレビュー
ではお借りしたラージボックス、
手持ちのRAT1と比較した結果から、
「ART」のサウンドレビューをしていきます!
RAT1 1988年製と1982年製ラージボックスを比較!
まず、ラージボックスですが、
今まで弾いてきたRATとは明らかに違う、
所有するRAT1とも違う…衝撃的なサウンドでした。
お借りしたラージボックスですが、
限られたレンジの中で、音に凹凸があり、
フィルターを右回しにしても芯は残っていく(※)、
このバランスがラージボックスの特徴なのか…と。
タイトで高域が抜けてくる感じですが、
かといって、耳障りな音に感じないのはおそらく…
芯がありつつもミッド、ミッドローが程良くあり、
肉付き感がある音で鳴ってくれるからかも。
あとギターボリュームを絞った時の挙動が違う…
手持ちの「RAT1」もそうですが、
ギターボリュームを絞った時には、
やや曇ったような、こもる感じがありますが、
このラージボックスはそういった印象がありませんでした。
ギターボリュームを絞っても腰砕けしにくく、
パキンとした鳴る…正にプリアンプとして使うなら、
このラージボックスは魅力的でしたね^^
「ART」と1988年製「RAT1」を比較!
まずは手持ちの1988年製RAT1と比較してみました(※)。
アンプは「Roland JC-40」、ギターはストラトキャスターです
一番に違いを感じたのは低域の出方です。
これはゲインを下げた時に顕著で、
「ART」は音に柔らかさ、太さ、コンプ感があるなと。
RATというペダル自体が聴感的に、
低域が削られるイメージがありますので、
ここはペダルコンセプト通り、緩和されていると感じました。
「ART」と1982年製ラージボックスを比較!
まずはラージボックスを感じた、
クランチさせたアンプをブーストさせてみました。
やはりこの感じは「RAT1」より、
高域成分の伸び方などラージボックスの雰囲気がありました^^
ただラージボックスよりも、
やはりチューニングされている影響か、
音に丸み、コンプ感はあるように感じました。
これはアンプを「JC-40」に戻し、
「ART」とラージボックスをクランチセッティング、
弾いてみた時にも同様に感じました。
…で、あくまで僕の主観ですが、
ラージボックス特有の芯のある音は、
「ART」はやや弱いかな?と。
ただココは「ART」の開発意図、
チューニングの方向性から結果とのこと。
そしてDistortionなどMAXにした時を比較。
ラージボックスのほうが少しファジー、
汚い感じの歪み方をするかな?という感じですが、
そこまで大きな差とは感じませんでした。
ちなみにバイパス音ですが、
かなりオリジナルに寄せている…
パッと聴くとわからないレベルでした。
ジャック、ハンダ、パーツ等々、
そのセレクトが活かされているのでしょうね。
バイパス音もエフェクトサウンドに関係する、
僕はそう考えているので、この再現性は嬉しくなりました^^
さて、この「ART」ですが、
ラージボックス、「RAT1」と比較して気付いたこと。
それは比較したヴィンテージRAT、
両方の雰囲気を持っているペダルだなと。
で、出音の雰囲気からすると、
「ラージボックス:RAT1=4:6」
ぐらいの比率の音であると僕は感じました。
弾いて感じたこの疑問を
「igniton/of/mass-products//」さんに聞いたところ、
実際にヴィンテージRATをサンプルに検証し、
個体差などを比較した結果、作られたサウンド
とのこと。そこにビルダーとしての好み、
チューニングした音とのことでした^^
オリジナル「CHEW」ミニスイッチについて
「ART」の独自仕様の一つ、
「CHEW」と書かれているミニスイッチです。
これは「RAT」の場合、
Distortion(ゲイン)を上げていくと生じる、
音のこもりを解消するものです。
そこで一番わかりやすかった、
Distortion、FILTER(Tone)をMAXで、
この2台をチェックしてみました。
出音に関して言うとかなり似ています。
「CHEW」をONにすることで、
各弦、特に巻き弦を弾いた時、
モコモコとした潰れる感じが解消されます。
また高域が強調されるとは、
耳障りなピーキーな部分はなく、
よく考えられて作られていますね。
ハムバッカーのギター、
音抜けが悪いな…なんて時に、
オプション的にも使える仕様であり、
「RATに」”+αの可能性”を見出せる仕様かと^^
で、個人的に面白かったのが、
クランチさせたアンプをブーストさせた時、
高域がグッと伸びてきたことでした。
アンプは「Organicsounds scirocco」とギターはストラトです
この出音の印象には…
ラージボックスのテイストを感じました。
まとめ
挙動含め、RAT系ペダルとして完成度が高いかと。
ブランドコンセプト、バイパス音含め、
ヴィンテージペダルの質感を感じられるペダルでした。
ちなみにこの「ART」、
三つのツマミを駆使することで、
細かい出音の調整ができるのも魅力です^^
例えば、プリアンプとして使う場合、
「もう少し高域を足したい、削りたい」など、
狙った感じで触れるのも良かったですね。
ただ、ツマミの位置をRATと同じにしても、
出音は違うのでそこはやや戸惑う人もいるかも(笑)
なので先入観は捨てて…
好きな位置でセッティングすると良いですね( ̄▽ ̄)
ちなみにこの「ART」、
どんなプレイヤーに使ってほしいのか?
「igniton/of/mass-products//」さんに聞いてみたところ、
ギターロックのバンドサウンドの中で使って欲しいですね。特に周波数チューニングはアンサンブルの中で何度も何度も試して、抜けを意識しています。
とのことでした^^
もし今回のレビュー、動画等…
何か感じ取ってもらえたら是非一度、
問い合わせしてみてください^^
では最後に。
今回はありがたいことに、
貴重なラージボックスを弾かせてもらえて…
非常に良い経験になりました^^
「ART」共々、貴重な機会を下さり、
「igniton/of/mass-products// 」さん、
ありがとうございました!
Twitter:https://twitter.com/i_o_mp
余談&僕の好みの話ですが「RAT」はペダルのボリュームを2~3時以降に設定して使うことが多いです。なぜなら、出音…高域の張り出し感、レスポンス等々、良い感じに鳴ってくれるからです。一度、試してもらえたら…幸いです^^
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