1979年製のMusic Man 112 RP 65を題材に、西田製作所の西田さんへアンプの構造や修理について聞きました。

Music Manは、トランジスタを使ったプリアンプと真空管のパワー段を組み合わせたハイブリッドアンプです。
高電圧で動作するパワー段と、キャビネットやバッフル板の造りを取り上げます。
メンテナンス性や、特殊なLINE IN/LINE OUT端子についても解説します。

サウンドレビューだけでは分からなかった、回路や木工の話まで聞けたのが面白かったですね。
| アンプの構造 | トランジスタのプリアンプと真空管パワー段を組み合わせたハイブリッドアンプ |
| パワー管 | 1979年当時のオリジナル6CA7を2本使用 |
| キャビネット | パイン材を使ったソリッドウッド構造 |
| バッフル板 | 針葉樹系の合板を使用 |
| 特殊端子 | TRS方式の100mV/3V LINE IN/LINE OUTを搭載 |
| ブランド | Music Man |
| モデル名 | 112 RP 65 |
| 製造年 | 1979年 |
| 出力 | 65W |
| プリアンプ | トランジスタ |
| パワー管 | 6CA7×2 |
| 内蔵エフェクト | リバーブ、フェイザー |
| 出力切替 | HIGH/STANDBY/LOW |
| スピーカーインピーダンス | 4Ω/8Ω切替 |
| パッチ端子 | 100mV、3V LINE IN/LINE OUT |
| アンプ | Music Man 112 RP 65 |
| 製造年 | 1979年 |
| パワー管 | オリジナルの6CA7×2 |
| 内蔵エフェクト | リバーブ、フェイザー |
| ゲスト | 西田製作所 西田氏 |
西田製作所が解説するMusic Man 112 RP 65の構造
Music Man 112 RP 65は、トランジスタのプリアンプと真空管パワー段を組み合わせた65Wのハイブリッドアンプです。
RPはリバーブとフェイザーを搭載したモデルで、所長が所有する1979年製の個体には、オリジナルの6CA7が2本使われています。
Music ManはFenderの流れを汲むアンプですが、モデルによってトーン回路や歪み方が異なります。
西田さんによると、RP/RD/HDなどは、同じセッティングでもサウンドが異なります。
後期には6L6を使ったモデルも登場しており、年代によってパワー管や回路の仕様も変化しています。
6CA7を高電圧で動かす独自のパワーアンプ回路
112 RP 65の回路図では、HIGH側の高圧電源に700V DC、LOW側に350V DCと記載されています。
所長の個体には、1979年当時から使われてきたオリジナルの6CA7が残っていました。
パワー段では、ドライバートランジスタから6CA7のカソード側へ信号を送る回路が使われています。
西田さんは、真空管とトランジスタを組み合わせたパワー段が、安定した動作に関係していると見ています。
高電圧で動作する設計ながら、オリジナルのパワー管が残っていた点に、Music Manのタフさを感じたそうです。
オリジナルの6CA7を交換せずに使用できた
メンテナンス前は、パワー管の状態によって交換が必要になる可能性もありました。
実際に測定した結果、オリジナルの6CA7は動作しており、交換せずに継続して使える状態でした。
6CA7について、西田さんは一般的なEL34よりもわずかにレンジが広く感じると話しています。
高域のチリつきが少し抑えられ、落ち着いたサウンドになる印象もあるとのことでした。

1979年当時のパワー管が、そのまま使えたのは驚きましたね。
パイン材キャビネットと合板バッフルの造り
西田さんがパワーアンプ回路と並んで評価しているのが、Music Manアンプのキャビネットとバッフル板です。
所長の個体では、比較的薄いパイン材を使い、キャビネットがソリッドウッドで組まれています。
スピーカーを固定するバッフル板には、針葉樹系の合板が使われています。
パーティクルボードとは異なり、湿気やスピーカーの重さによって崩れにくい造りです。
合板製バッフルの剛性も、Music Manの音に関係していると西田さんは見ています。
スピーカーを支えることで、音が前へまっすぐ飛ぶ感覚につながるそうです。
Music Manのラインには、重量のあるElectro-Voice製EVMスピーカーを搭載したモデルもありました。
西田さんは、重量のあるスピーカーも想定した造りではないかと見ています。
一方、コーナー金具やハンドルなどの金属パーツは、保管環境によって錆びやすい傾向があります。

回路だけでなく、キャビネットやバッフル板まで含めてアンプの音が作られているのが分かりますね。
基板を取り出すまでの手順が少ない
Music Manアンプは、数本のネジを外すことで、メイン基板を取り出せる設計です。
112 RP 65では、ドライバートランジスタを固定するネジを外し、一部の配線も外します。
それでも基板を取り出すまでの手順は少なく、修理箇所までたどり着きやすいそうです。
プリント基板の銅箔パターンは、熱や経年によって剥がれる場合があります。
パターンが傷んでいる場合は、錫メッキ線を使ったジャンパーで補修するそうです。
基板の土台にはガラスエポキシが使われており、湿気で基板自体が崩れにくい点も評価していました。
Music Manアンプは修理できないという誤解
所長は以前、Music Manアンプは修理できないと楽器店で説明されたことがあります。
その話が先入観として残り、長い間Music Manアンプの購入を避けていました。
西田さんは過去にMusic Manアンプを多数所有し、分解しながら回路を調べてきたそうです。
その経験から、現在は基板レベルの修理やメンテナンスにも対応しています。

西田製作所さんへ、修理やメンテナンスを相談できるのはありがたいですね。
西田さんがライブで感じた音量と耐久性
西田さんは20代の頃、112 RP 65に近いサイズのMusic Man RD 50をライブで使用していました。
アンプとエフェクターボードを折りたたみカートへ載せ、電車で都内のライブハウスまで運んでいたそうです。
繰り返し運搬しても大きなトラブルはなく、コンパクトな筐体ながら十分な音量が出ていました。
ツインギターの相手がJC-120を使う状況でも、Music Manは音量不足を感じなかったとのことです。
HIGH/LOW切替でパワーアンプの出力を変えられる
112 RP 65のHIGH/LOWは、中央のSTANDBYを含む3段階の切替スイッチです。
HIGHではパワー管へ高い電圧が加わり、アンプ本来の出力でスピーカーを鳴らします。
LOWへ切り替えるとパワー管へ加わる電圧が下がり、HIGHより出力を抑えられます。
西田さんによると、演奏中に切り替える時は、一度中央のSTANDBYを経由します。
STANDBYへ戻しても回路内には電気が残るため、すぐに音が消えないことがあります。
条件によっては、歪みながらしばらく音が鳴り続ける独特の挙動があるそうです。
100mV/3V LINE IN/LINE OUTは信号を入れる位置が異なる
112 RP 65には、100mVと3VのLINE IN/LINE OUT端子が搭載されています。
一般的なSENDとRETURNのように、入力と出力が別々のジャックへ分かれている端子ではありません。
1つのTRSジャックへ入力と出力をまとめた、インサート方式のパッチ端子です。
TRSジャックでは、TIP/RING/SLEEVEに、それぞれ以下の役割が割り当てられています。
| TIP | アンプへ戻す入力 |
| RING | アンプから取り出す出力 |
| SLEEVE | グラウンド |
外部機器を信号経路へ挟むには、TRSから2本のモノラル端子へ分岐するYケーブルが必要です。
100mVと3Vでは信号を戻す位置が異なるため、接続後に使えるアンプ側の機能も変わります。
100mV側ではGAIN/VOLUMEを調整できる
100mV端子は、BRIGHT/DEEPとTREBLE/MIDDLE/BASSを通過した後に配置されています。
100mV側から信号を入れると、アンプ側のGAINとVOLUMEで歪み量と音量を調整できます。
BRIGHT/DEEPと3バンドEQは通らないため、各コントロールを調整してもサウンドは変化しません。
取扱説明書では、100mV端子がリバーブとフェイザーより前に配置されています。
ただし所長の個体では、フットスイッチをONにしてもフェイザーはかかりませんでした。
取扱説明書の信号経路とは結果が異なりますが、原因は確認できていません。
100mV側は、外部プリアンプの音にアンプ側のGAINとVOLUMEを加えたい場合に使えます。
3V側ではパワーアンプへ信号を送る
3V端子は、アンプのプリアンプ部を通過した後、パワーアンプの直前に配置されています。
3V側から入力した信号はパワーアンプへ送られるため、アンプ前段のコントロールは通りません。
外部プリアンプを載せたボードから3V側へ接続すると、112 RP 65をパワーアンプとして使えます。
ただし、3V側も一般的なモノラルのRETURN端子ではなく、入力と出力をまとめたTRS仕様です。
一般的なSEND/RETURNへ改造する方法もある
所長は、外部プリアンプを組み込んだペダルボードから112 RP 65へ接続する使い方も考えていました。
現在の端子を使う場合は、TIPとRINGの役割に合わせたTRSケーブルやYケーブルが必要です。
西田さんからは、外部プリアンプを接続しやすいように、一般的なSEND/RETURNへ変更する案も出ました。
復刻版と1970年代のオリジナルでは箱とスピーカーが異なる
Music Manアンプは、後年にDV Markが手掛けた112 RD 50や212 HD 130などの復刻モデルも発売されています。
復刻版にはDV Mark製のネオジムスピーカーが使われ、1970年代のオリジナルより軽量化されています。
一方、所長が所有する1979年製の112 RP 65には、パイン材のキャビネットと合板のバッフル板が使われています。
西田さんは復刻版も確認したうえで、音の芯や前へ飛ぶ箱鳴りはオリジナルを高く評価していました。

復刻版とオリジナルでは、キャビネットやスピーカーまで違うんですね。
Music Manアンプを使い続けるなら一度メンテナンスを
今回の112 RP 65は、西田製作所で基板や各部を確認し、オリジナルの6CA7を残したまま使い続けられる状態になりました。
Music Manアンプを所有している方は、現在問題なく鳴っていても、一度内部の状態を確認してもらうとよいでしょう。

Music Manアンプの修理やメンテナンス先を探している方は、西田製作所さんへ相談されてはいかがでしょうか。










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