
1976年~1980年代にかけて生産、
名機と知られる「BOSS CE-1」をレビューします^^
独特な形状の筐体、
単なるコーラスペダルではなく、
プリアンプ効果が得られる等々…
僕の憧れるミュージシャンも愛用するペダル、
手にすることで気付いたことが色々ありました。
ペダルレビュー
まず…デカイです。
横幅BOSSのコンパクトペダル3台分、
エフェクターボード内の存在感、圧迫感は相当なものです。

フットスイッチは2つ。
- 左のスイッチ
→エフェクトのON/OFF、 - 右のスイッチ
→コーラス/ヴィブラートの切り替え
左のランプはON/OFFで点灯ではなく、
入力信号に対して点灯します。
この左のランプはファズなどの過大な入力が入ると、
ずっと点灯したような状態(オーバーロード)になりますが、
壊れるということはありません。
右のランプはエフェクトOFFで常時点灯(点滅なし)、
エフェクトONで各エフェクトのエフェクトスピードに応じて点滅します。
コーラス/ヴィブラート部について
コーラス/ヴィブラートは各々にツマミが分かれており、
- コーラス
→intensity - ヴィブラート
→rateとdepth
のツマミでエフェクトの効きを調整できます。
コーラス/ヴィブラート部の心臓部となるオペアンプには、
今では入手困難な松下製のBBD素子「MN3002」がのっています。

もし仮に壊れた場合…
ドンズバでリプレイスできるパーツがないのも悩みの種…
念のため、修理時に使えると言われている、
「MN3001」は確保していますが…不安は尽きません^^;
CE-1のプリアンプについて
「CE-1」は繋ぐだけでプリアンプ効果があり、
エフェクトOFF時でも効くのが「Level」のツマミです。

詳しくは後述しますが、
「High」「Low」の切り替えと連動、
いわゆるプリアンプセクションになります。
そしてこのプリアンプセクションはICを中心に構築されています。
僕の所有していた「CE-1」たちのICは、
- TA7504S
- TA7136P1
- TA7136AP
の3種類が乗っていました。

TA7136APは銀ネジ期「BOSS DS-1」にも使われています。僕が弾いた「CE-1」では上記3種類のICでしたが、全部で4種類あることは確認しています。
そしてプリアンプICによって、
ある程度音の傾向はあるように感じています。
(他のパーツ構成の影響、経年変化もあるでしょうけど)
このICからおおよその製造年を判別できますが、
製造番号などからも製造された時を判別できることに気が付きました。
CE-1の製造年を判別するには
BOSSエフェクターで製造年を調べる場合、
シリアル番号がわかれば年代特定できるものですが、
「CE-1」の場合は年代特定できるシリアルの記載がありません。
製造年を特定する方法は公表されていませんが、
友人の協力もあり、複数台のデータから推測するに、
「製造番号の一番左の数字で製造年がわかるのではないか?」と。
例えば「0」から始まる場合は80年製、
「8」で始まる場合は78年製といった感じですね。
「0」で始まる個体はありますが1970年には販売されていません
ただしこの法則が当てはまるのは、
製造番号のプレートが日本語表記の場合のみ。

英語表記の場合はイレギュラーなケースが多いため、現在も調査中です^^;
このことから使われているICなども含め、
僕の手元にある「CE-1」は76〜77年、78〜79年の頃だと推測しています。


ICは同時期に発売されていた「DS-1」の仕様にも基づいています。
また製造番号のプレートに記載された会社名が、
「ローランド株式会社」ではなく「ボス株式会社」の個体もあります。
例えば、「ボス株式会社」の表示で製造番号が「4」始まりの場合。
おそらく「84年製」か?80年代の物となると、
「ボス」名義になるのか?など妄想は尽きません(笑)
またこの記事を書いた後日、Twitterで、
電源コードに製造年が書かれていることを教えていただきました!
当方が所有する76年製と思っていた、
個体のケーブルをみたところ、77年と印字されていました。
他の個体も調べてみたところ、
製造番号と電源ケーブルの表記が一致しているケース。
もしくは電源ケーブルの記載が製造番号よりも、
1年遅れで記載されているケースが多い傾向が見られます。
現状、製造番号のプレートが日本語表記であれば、
- プリアンプICの種類
- 製造番号
- 電源ケーブルの印字
いずれかの方法で近しい年代特定ができると考えています^^

「CE-1」の年代特定について「知ってるよ!」という方がいらしたら、ぜひお教えください^^
コーラス、ヴィブラートサウンドについて
この「CE-1」のコーラス、ヴィブラート、
あのジャズコーラスアンプのコーラス部分を抜き取ったペダルと言われています。
コーラス、ヴィブラートサウンドも、
年代によってエフェクトのかかり方が変わりますが、
音は太く暖かみがあり、広がりのあるサウンド。
僕にとっては病みつきになる、中毒性のあるサウンドでした。
「JC-40」のコーラスと「BOSS CE-2」と比較
同じくBOSSのアナログコーラス「CE-2」、
「JC-40」のアンプ内蔵コーラスと比べても、
味わい深いといいますか…空間を埋めてくれるような感じ。
たまらないものがありますね。
聴き比べてもらうとその特徴、違うはわかるかと。
ただエフェクトサウンド(コーラス)の違いとして、
CE-1のバイパス音、プリアンプを介していることが影響していると感じました。
CE-1の魅力!プリアンプ効果について
CE-1最大の特徴と言えるのが、
バイパス時でもプリアンプを通った音であることです。
音痩せしているとも言われますが、
明らかに繋ぐだけで得られる音色の変化があります。
プリアンプセクションは、
「High」と「Low」インプットの2種類があり、
「Level」のツマミで音量を調整します。
「Level」はクリーンなアンプ、例えば、
「JC-120」等なら音量が上がっていきますが、
「High」と「Low」で質感が異なります。
この2つのインプットモードは、
繋ぐ楽器によってチョイスするものだそう。
一般的にギターは「Low」、
「High」はキーボードなどの楽器を繋ぐことを想定しているとか。
ちなみに「High」でギターを繋ぐと太くなり、
ツマミをまわしていくと割れるように歪んでいきます。
これは真空管アンプ、
ドライブしていくアンプに繋ぐと顕著。
以下の動画のような効果、クランチサウンドを得ることができます。

動画では「Organic Sounds Scirocco」を使いました
このようにアンプをプッシュすることもできます。
また「Low」の場合ですと、
ギター側のボリュームを絞った時もこもりにくくなりますね。
CE-1はバッファードペダルと組み合わせて使うのがおすすめ
音痩せと感じられるのが、
高域が劣化してしまう、削られてしまう、
こもった音になるからでしょう(特に「High」モード)。

音痩せはCE-1単体で繋いだ時のお話です。
これは「CE-1」の入力インピーダンスが低いためです。
そこでバッファードペダルとの併用、
例えば、BOSSなどのバッファードペダルを前段に繋ぐことで、
インピーダンスマッチングさせた状態で「CE-1」を鳴らすことができます。
すると、音痩せを感じなくなるだけでなく、
CE-1のバイパス音、コーラス等のエフェクトサウンドも変わります。
音痩せと感じる部分が解消されるだけでなく、
プリアンプとしての効果、音色も感じることもできます。
つまり、何らかのバッファーと組み合わせ使っても、
特徴である「暖かみ・柔らかさ・コンプ感」を付加してくれると感じました。
僕が好きなミュージシャン、
John Frusciante(ジョン・フルシアンテ)氏、
またChar氏のエフェクターボードを見た時でも、
何らかのバッファードペダルを前段に繋いでいることも頷けました。
前段につなぐバッファーペダルも選びたいところ
前段に繋ぐバッファーペダルはバイパス音に影響します。
例えば、「Strymon Flint」をバッファードモードの場合、
キラキラした音になりすぎる気がして、僕はイマイチな感じでした^^;
僕の好みでいえば、BOSSのペダルを繋ぎたい。
しかも、できれば80年代のBOSSコンパクトであれば、
どこか丸く柔らかいバッファーサウンドが良い塩梅で交じりあい、
「CE-1」の良さも引き出してくれる気がするからです。
では、1976年製と1978年製の「CE-1」と、
89年製「BOSS DS-2(日本製)」をバッファーとして、
- バッファー「なし」のバイパス音、エフェクト音
- バッファー「あり」のバイパス音、エフェクト音
で比較した動画をご覧ください。
動画ではわかりやすいように「High」インプットで比較しています。
バッファーありなしですと、
バイパス音、エフェクト音ともに違いはもちろん、
バッファー(DS-2)ありでも、そこまで煌びやかにならず、
「CE-1」の個性も消されないんじゃないかなと^^

前段に繋ぐ、バッファーペダル、もしくはインピーダンスコントロール、またの機会に検証してみたいと考えています^^
CE-1のプリアンプがもたらす副産物的な効果
言葉で説明するのは難しいのですが…
「CE-1」の「Level」の設定次第で、
歪み方、音量、頭打ちする加減などなど、
前段に繋ぐ歪みペダルの挙動にも影響します。
これは「CE-1」の持つ独特なレンジ感、
グッと音がまとまるような特性があるためではと。
例えば、「Hizmax」というペダルで、
動画ぐらいのボリューム設定で鳴らした場合。
これが「CE-1」を繋げない場合、
ここまで音量は出ず、下がってしまいます。
「CE-1」を繋ぐことで得られる恩恵、
音色の変化などなど、チェックされてみると面白いですよ^^
「High」と「Low」インプットでは位相が変わる
「CE-1」の「High」「Low」インプットですが、
実は「High」インプット側で鳴らすと位相が反転します。
もし、バンドアンサンブルの中で鳴らした時、
「なんか音の抜けが悪いな」「自分の音が聴こえにくいな」
そう感じた時があれば、「High」と「Low」を切り替えてみるのも一つです。
切り替えると音色は変わりますが、
現場でこういった対応が効くのも「CE-1」の魅力の一つですね^^
「CE-1」は年代で音が違うのか?弾き比べしてみた
1976年製、1977年製、1978年製、1980年製、
年代別に複数台のCE-1をチェック、弾き比べしてみました。

年代別に弾き比べた印象として、
バイパス、エフェクト音ともに後年になるにつれ、
タイトで綺麗な音になる傾向を感じました。
1976年製と1978年製を比較してみた
比較すると78年製のほうが、
ローミッドにピークのある鳴りをしている印象でした。
78年製はロックなサウンドに合いそうですね^^
1976年製と1980年製を比較してみた
80年製のものになると、
コーラスサウンド含め、音がきれいになる印象。
80年製はポップスなんかで使うと良さそうかなと。
年代的にも新しいものとなるので、
パーツが劣化していないのもあるかもしれませんね。
1977年製と1978年製を比較してみた
僕が所有する77年製と78年製ですと、
77年製のほうが元気で輪郭のある音に感じました。
これらはパーツの劣化具合など、
年代だけで傾向は語れない…のはもちろんですが、
プリアンプ部のICによって、音の傾向はあると感じました。
個体差はあるのか?1978年製でチェックしてみた
1978年製の「CE-1」を、
エフェクターブック編集長さんからお借りし、
手持ちの78年製とも比較してみました。
同時期の物と思って弾きましたが、
先ほど紹介した77年製のものと雰囲気が似ていました。
さらに一緒に「CE-1」の検証、
研究をしていた友人が所有する78年製のCE-1も借りました。
この個体は僕の持っている78年製に近かったですね。
つまり個体差がある、もしくは、
○○年製と思っている個体でも年代が違うかもしれません(笑)
もしくは僕の所有していた77年製、
エフェクターブック編集長さんの個体ともに、
かなり状態がよさそうだった、メンテナンスされていたことから、
パーツ含め、へたってないのかな?と。
明確な答えはでていませんが、
内部パーツなどなど、もっとデータを取れば明確になるかと。
誰か一緒に研究してほしいです…(笑)

製造年の判別精度が高ければ…こういった差はもっと少なくなるかもしれません…
1976年製の「CE-1」だけは回路が違う
先ほどの78年の個体を貸してくれた、
詳しい友人の話では1976年製の「CE-1」は、
プリアンプICが「TA7504S」、回路も後年のものと違うとのこと。
回路変更があった理由は…謎…ですが、
ひょっとすると入力の問題を改善するためかな?と。
…というのも1976年製の場合、
前にバッファーを繋いであげるなど、
ローインピーダンスで入力してあげないと…
エフェクトの効きがかなり弱くなるからです、、^^;
もともと…ギター用ではなかったのも頷けます。
とはいえ、良い感じにしょぼくれた、
イナたいという言葉がハマるサウンドに感じました。
管理人が好きな「CE-1」は…
僕が好きだったのは76年製と78年製の「CE-1」でした。
特に求めていた音、
イメージする音がしたのは78年製の個体でした( ̄▽ ̄)
バッファーと組み合わせるのであれば、76年製も捨てがたい。

CE-1は数台持っていましたが、保管場所にも困るので…僕は76年、78年製を手元に残しています^^
ちなみに色々な年代を弾いて思ったのが、
後年に生産された「CE-1」のほうが扱いやすくなっている、
ギターにも使うことが想定されているとも感じました。
CE-1のプリアンプ効果を期待できる現行品ペダル
ちなみに近年のペダルであれば、
「RETRO SONIC Chorus Ensamble」はなかなか良かったです。
あとは個人ビルダーの方で気になる物を作られています。
試してみたいですね( ̄▽ ̄)
あと「CE-1」ではありませんが、
「5150 Chorus」のバッファー部分も似ているかも。
この「5150 Chorus」の元ネタは「Roland DC-30」、
「CE-1」と同時期に販売されていた機材です。
でもやっぱり「CE-1」がいいな…壊れたらどうしよう…
そう考えるとスペアを…確保しておきたいペダルですね(笑)
まとめ
年代別に「CE-1」の特徴をまとめると、
- 76年製
→良い感じにしょぼくれた落ち着いたサウンド - 77年製
→明瞭でありながら柔らかさのあるサウンド - 78年製
→太さ、ごつさのある派手なサウンド - 80年製
→クリアで煌びやかなサウンド
と抽象的ですが(笑)
あくまで僕が弾いた個体でいえば、こんな印象。
で、ぼくの好みは76年製と78年製、
僕は何よりもプリアンプ効果に感動しました。
「CE-1」は古いペダルですが実用的で実戦的。
いまだに使われている理由を垣間見られた気もしました。
また「CE-1」の歪む特性を活かし、
アンプをプッシュする感じも好きでしたね。
単にエフェクトサウンドだけでなく、
+αの効果によるサウンドメイクの中核となり得る、
ボードから外せなくなりそうなペダルです(^^)
もちろん、コーラスサウンド、
ヴィブラートサウンドも立体的で、
奥行感のある音で非常に魅力を感じました。
好きなミュージシャンが使っているなら、
是非、一度は体感してみてほしいペダルです^^

「BOSS CE-1」の中古相場は40,000~55,000円。箱付き美品だと80,000円ぐらい(2020/6/1時点)でしょうか^^
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